腰痛というのは,年をおうごとに減ってはいますが,いまだに4,400件以上の報告があるようです。
その数は,業務上疾病の約60%を占めています。
労働者の健康を考える上で重要な問題となっているのではないでしょうか。
腰痛の発症要因としては,不自然な姿勢,重量物の持ち上げ,一定姿勢の保持,瞬間的な負荷などがあげられています。
なかでも前傾・前屈,ひねり,中腰等の不自然な姿勢は,腰痛発症要因の半数以上を占めているようですね。
製造業や接客娯楽業等の作業現場では,前傾姿勢での持続的な立位作業が良く行われています。
この姿勢は,腰部の筋肉の緊張を高め,腰痛を引き起こす原因となっています。
持続的に前傾姿勢することによる腰痛を予防するには,休憩や姿勢を変える等の対策が実行されています。
でも,これらの対策では作業負荷を軽減できないため,十分な予防効果は得られていないのも現状ですね。
このことから,持続的な前傾姿勢における新たな腰痛対策が必要とされています。
ここでは,補助器具を利用した人工的な腰痛対策について,これまでに得られた実験結果をもとに紹介していきましょう。
前傾姿勢の腰痛対策
作業による過度の筋肉の緊張というのは,疲労を蓄積させて慢性的な腰痛を生じさせるだけではなく,突発性のぎっくり腰等も発症しやすくなるものです。
腰痛を予防するためには,疲労が蓄積しないように作業中の腰部負担を軽減することが重要となってきます。
腰部負担を軽減する方法としては,腰にかかる力を減らす必要があるのです。
1994年に労働省から発行された「職場における腰痛予防対策指針」の中には,作業管理,作業環境管理,健康管理,労働衛生教育等の対策が記されているのです。
そのなかの作業管理には「作業姿勢,動作」の項目があった。
「不自然な姿勢を取らざるを得ない場合には,適宜,身体を保持する台等を使用すること」と記されているので確認してほしい。
直立姿勢では,重力方向の力しかかからないため,腰部の筋肉に過度の負担はないのです。
でも,前傾姿勢だと,前方にかかる力を腰で支えるため,腰部の筋肉は過度の緊張が強いられている状況になります。
このことから,前傾する身体を作業台や器具等で支えることは,腰にかかる力をそれらの物に分散することになって,腰部の筋肉の緊張を軽減できるのです。
そのようなことで,前傾姿勢の腰痛対策としては,身体を支えることが有効な手段となっています。